新規医療器具
海外では強膜支持型の特殊な大型ハードコンタクトレンズの装用によって視力を向上させる方法があるが、レンズの直径が大きく(約16〜23㎜)、アジア人や高度の癒着を伴う重症症例には適さない。
そこで京都府立医科大学眼科では、サンコンタクトレンズ(株)と共同で、独自にデザインした直径13-14ミリのハードコンタクトレンズ(輪部支持HCL)を開発し、角膜上皮幹細胞疲弊症を対象に臨床研究を進めてきた。
本レンズの装着によりレンズと角膜のあいだに涙液が入り、角膜表面の凹凸不正を緩和されて視力補正が可能になる。さらにはレンズが涙液の蒸発を抑制し、ドライアイに伴う症状を緩和する。臨床研究の対象となった52例65眼のうち、42例53眼がSJS患者であり、著しい視力改善を得たほか、視力に関連する生活の質の向上(QOL改善)も認めた。
輪部支持型のハードコンタクトレンズは、本疾患による視力障害患者に対する新規医療器具として、2014年(平成26年)に医師主導治験が行われた。(厚生労働省 難治性疾患克服研究事業 平成25-26年度「重症多型滲出性紅斑眼障害の克服に向けた新規医療器具の開発(H25-難治等(難)-一般-027)」)
2015年6月薬事申請、2016年2月に薬事承認を得た。
2016年10月より京都府立医科大学眼科で処方を開始している。