眼の治療

SJS/TENの70%程度が、発疹・びらんのある急性期に眼の障害を合併します。(残り30%程度は、眼の合併症はなく、その場合には眼科治療は必要ありません。)

眼に合併症があるかどうかの判断には、眼科医の診察が必要です。

急性期

眼の表面が攻撃されて、強い炎症を生じます。眼の表面の炎症をしずめるために、ステロイドの点眼を行います。また、感染症を生じないように、抗菌薬の点眼を行います。
全身的には、
 (1)ステロイドパルス療法
 (2)ヒト免疫グロブリン静注(IVIG)療法
 (3)血漿交換療法
があり、重症例ではこれらを併用して治療が行われます。

慢性期

ドライアイ

涙に似た成分の人工涙液や生理食塩水を点眼します。人工涙液は、防腐剤を含まないものが安全です。さらに、保湿作用のある点眼(ヒアルロン酸)や抗炎症作用のある点眼(レバミピド)を用いて、眼の表面の乾燥や摩擦を緩和します。
涙液の出口である「涙点」涙点を閉じる方法(涙点プラグや涙点閉鎖術)は、涙液の著流量を増やす効果があります。

さかまつげ

2〜4週に1回程度の通院を行い、眼科で抜いてもらうのが確実です。さかまつげの状態によっては、手術治療が有効な場合があります。

視力障害

一旦生じた視力障害を、元通りに回復させる方法は、残念ながらありません。
しかし視力改善のための新しい治療として、自分の口腔粘膜から人工的に上皮シートを作成し、それを移植する「自家培養口腔粘膜上皮移植」が開発されました。自家培養口腔粘膜上皮シート移植は、SJSあるいはTENによる高度視力障害や難治な上皮欠損を適応疾患として、先進医療Bとして平成25年7月に承認されました。

詳しく知りたい方は、「新しい治療に興味ある方へ」「過去の講演集」をご覧ください。